【平均年収685.5万円】ナブテスコ社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【平均年収685.5万円】ナブテスコ社員の給料は実際いくらもらっているのか?

【年収研究シリーズ】ナブテスコの年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


ナブテスコの概要

ナブテスコは、船舶・航空機・鉄道など輸送機器向けモーションコントロール分野で国内外トップクラスのシェアを誇る精密機器メーカーです。

  • 船用エンジン遠隔制御システム:国内約50%・世界約40%のシェアを保有し、国内主要船、世界の大型商船への幅広い導入実績があります。
  • 航空機フライト・コントロール・アクチュエーション・システム:国内シェアはほぼ100%。自衛隊機や民間航空機の主要システムとして採用されています。
  • 鉄道分野:ブレーキ装置やドア開閉装置で高いシェアを持ち、日本全国の新幹線・通勤電車からアジア・欧州の現地車両にも納入実績があります。

さらに、産業向けロボット減速機(精密加工部品)、自動ドアシステム、医療・福祉用機器など多分野で強みを持ち、グローバル展開を加速しています。

ナブテスコは、こうした高度な精密制御技術を基盤に多様な社会インフラを支える存在として、国内外で高い評価を得ています。

ナブテスコの事業セグメント

ナブテスコは、「精密機器」「モーションコントロール技術」をコアに、グローバルで多様な事業を展開しています。2024年12月期の有価証券報告書等に基づく最新の事業セグメントの構成・業績・従業員数推移は下記の通りです。

事業セグメントの概要

1.コンポーネントソリューション事業:精密減速機・油圧機器等の産業用機器(ロボット向け部品、製造業部品の製造・販売)

2.トランスポートソリューション事業:鉄道(ブレーキ・ドア)、航空(フライトコントロール)、商用車、舶用機器(保守・新車向け)

3.アクセシビリティソリューション事業:建物用自動ドア、プラットホームドア等(駅・商業施設・ビル等社会インフラ・安全・利便性分野)

4.その他:包装機械、立体モデル装置、関連部品など(報告セグメントに含まれない事業全般)

セグメント別売上利益の概況

2024年12月期において、売上高が最も大きいのはコンポーネントソリューション事業(精密減速機・油圧機器)の約1,178億円(全体の約36.5%)でしたが、営業利益は約57億円(同約17.6%)で、利益率は4%台と低めでした。

次いで アクセシビリティソリューション事業(自動ドア・プラットホームドア)の売上高が大きく約1,067億円(約33.0%)、営業利益は約90億円(約28.0%)でした。

一方、トランスポートソリューション事業(鉄道・航空・商用車用・舶用機器)は、売上高約887億円(約27.4%)に対し営業利益が約125億円(約38.8%)と、14%台と高い利益率を背景に全社利益への寄与が最も大きくなっています。

セグメント別従業員数の推移

ナブテスコグループの連結従業員数は、やや右肩上がりで伸びています。伸びが最も大きいのは、アクセシビリティソリューション事業です。

セグメント 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期
コンポーネントソリューション事業1,8151,9471,9821,8981,830
トランスポートソリューション事業2,1742,0812,0432,1342,192
アクセシビリティソリューション事業2,9603,0023,0703,3433,404
その他449480475403416
全社(共通)319334358380385
合計7,7177,8447,9288,1588,227

出典:ナブテスコ 有価証券報告書「従業員の状況」(連結)

ナブテスコの平均年収は685.5万円

ナブテスコ(単体)の2025年12月期有価証券報告書によると、平均年収は685万5,000円です。これは全従業員を対象とした実績値で、職種・年代ごとレンジやグループ全体平均とは異なります。

ナブテスコの平均年収推移

決算月 平均年収 平均年齢 平均勤続年数 従業員数
2020年12月期 694.6万円 42.3歳 17.0年 2,366人
2021年12月期 715.3万円 42.5歳 17.2年 2,369人
2022年12月期 734.0万円 42.6歳 17.3年 2,390人
2023年12月期 695.7万円 42.4歳 17.0年 2,448人
2024年12月期 685.5万円 42.4歳 17.1年 2,485人

出典:ナブテスコ 有価証券報告書(各年度)。いずれも単体実績。「賞与・基準外賃金」含む。

2022年12月期の平均年間給与(734万円)は過去5年間で最高水準となりました。これは、前年2021年12月期の好業績が翌期の賞与に反映されたためです。2021年の連結当期利益は約679億円に急増。主因は「金融損益の特殊要因」でした。

その中心が持分法適用会社であった精密減速機メーカー、ハーモニック・ドライブ・システムズ(HDS)株式の売却益です。HDSは波動歯車型減速機で世界シェア約5割を持ち、ナブテスコは2009年頃から約20%を保有していましたが、事業シナジー低下を背景に2023年に資本関係を解消しました。

翌2022年12月期の利益は約95億円へ急減し、翌年の業績連動型賞与の原資が縮小。平均年収は2023年695万円、2024年685万円と低下しました。

加えて、2021年から2024年にかけて単体従業員数は2,369人から2,485人に増加し、若手採用比率の上昇や残業時間の平準化も平均給与を押し下げた要因です。ナブテスコでは毎年の定期昇給や制度改定で基本給は上昇していますが、賞与減少の影響がそれを上回り、近年の平均給与は減少傾向となっています。

ナブテスコの年代別平均年収と中央値

ナブテスコの年収中央値は30代で607.8万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

年代 平均年収 平均月収 平均ボーナス 年収中央値
20代439.8万円25.1万円110.9万円395.82万円
30代607.8万円34.1万円153.4万円547.02万円
40代755.3万円42.1万円190.7万円679.77万円
50代892.9万円49.5万円225.5万円803.61万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

ナブテスコと競合他社の平均年収を比較

今回は事業構造・規模が比較的近く、給与水準や人員構成のベンチマークとして有効なナブテスコ・SMC・ハーモニック・ドライブ・システムズ(HDS)・オリエンタルモーターの4社でまとめました。

この4社はいずれも精密機器・モーションコントロール分野で高い技術力を持つ企業です。ナブテスコは平均年収716.5万円と、業界内では上位水準にありますが、SMCやハーモニック・ドライブ・システムズと比べると若干下回ります。一方で規模・事業分野の幅では他社にない強みがあります。

平均年収は企業規模や利益率だけでなく、従業員数や年齢層、事業構造や給与制度設計によっても変わります。同じ精密・制御機器分野でも、保有技術や販売市場によって水準差が生じている点は、転職や就職を検討する際に重要な視点となります。

社名 平均年収(万円) 平均年齢 平均勤続年数 従業員数(単体) 売上高(単体・億円)
SMC 852.9 41.8 20.6 5,937 4,669.7
ハーモニック・ドライブ・システムズ 753.3 41.8 15.1 412 411.2
ナブテスコ 716.5 42.5 17.2 2,369 1,632.9
オリエンタルモーター 704.2 40.0 14.8 3,099 1,021.4

※出典:各社最新有価証券報告書(すべて単体ベース/1千円未満四捨五入)

ナブテスコ社内で年収が高い職種・役職は?

ナブテスコでは、賞与の年間平均支給額が「6カ月分以上」と非常に大きく、年収に占めるボーナス比率が高いのが特徴です。一般職(非管理職)の場合、賞与原資は主に全社業績によって決まり、個人の業績貢献度はボーナス額に大きく影響しません。しかし、管理職(係長/課長/部長級)になると、会社業績や個人評価が賞与に直接反映される仕組みが強まり、年収水準が一気に上昇します。

役職別の目安年収

  • 入社1~3年目(一般職):400万~450万円程度
  • 係長級:概ね700万円前後
  • 課長級:900万~1,150万円
  • 部長級:1,120万~1,400万円
  • 役員報酬:平均3,500万~3,900万円(参考値)

キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。

ナブテスコ社員の給与明細(キャリコネ)

同年代同職種でも、賞与や手当の額で差が…

20代・生産製造技術(非管理職)の 給与明細

20代・生産製造技術(非管理職)の 給与明細

ナブテスコの見落としがちな留意点、課題は?

1. 事業ポートフォリオの変化とグローバルリスク

ナブテスコは鉄道・航空・船舶・産業機器といった多角的な事業を展開していますが、近年は海外売上比率やグローバル展開が拡大する一方で、地政学リスクや為替変動、海外競合との競争激化が増しています。海外市場の規制強化やサプライチェーンのボトルネック、新興国の景気変動が業績に与える影響への注視が必要です。

2. 技術革新への対応と新規領域の創出

主力分野のモーションコントロール・精密減速機などは一定のシェアを維持していますが、ロボティクス・自動運転・AI活用など新技術への適応が中長期競争力に直結します。M&Aや事業提携による技術獲得も積極化していますが、既存技術・人材・顧客基盤とのシナジー創出やイノベーションのスピード感への課題も指摘できます。

3. ESG・サステナビリティ対応の強化

近年はESG(環境・社会・ガバナンス)課題への対応要求が高まっています。ナブテスコは環境負荷低減や多様性推進に取り組んでいますが、気候変動対応(Scope1〜3)、サプライヤー管理、人権配慮など、上場企業としてクリアすべき新たな課題が増加しています。社会的な評価や投資誘致にも直結するため、ESG戦略の強化は中長期的な重要ポイントです。

4. 人材確保・定着と組織運営

若手採用や定着率向上に向けた制度改革(ジョブ型移行、ダイバーシティ推進など)は進んでいますが、専門技術人材やグローバル人材の流出・競争激化、世代間の働き方ギャップなど、従業員側の課題も見逃せません。制度改革が実質的な働きやすさやイノベーション力につながっているか再検証が必要です。

ナブテスコには年収以外にメリットはある?

ナブテスコを就職・転職先として見る場合、特に以下のようなメリットが評価できます。

1. 圧倒的に低い離職率と長期就業環境

  • 自己都合による退職率は約1%と非常に低く, 過去も同水準で安定しています。平均勤続年数は17年。平均年齢が42歳と日本メーカーとして標準的にもかかわらず「社員が長く定着しやすい職場」と言えるでしょう。離職者へのアンケート調査や分析を通じて、労働環境や施策の改善へと反映させている点も特徴です。

2. 労務管理・働き方改善の積極的な取組み

  • サービス残業撲滅への具体的な施策:PCログ監視などで勤怠記録との乖離をチェックし、人事部主導でサービス残業を一掃しています。働き方改革の一環として、残業時間管理や有休取得推進、安全衛生管理に取り組んでいます。

3. その他の安定性・福利厚生

  • 福利厚生制度が充実:各種手当、育児・介護支援、社内研修や海外派遣制度まで幅広く整備されています。産業安全や健康支援も充実しており、働く人のライフステージに応じたバックアップ体制があります。技術開発やグローバル事業展開など長期キャリア形成がしやすい職場環境もポイントです。

まとめ

ナブテスコは、低い離職率・長期定着環境・労務管理の徹底・福利厚生の充実など、安定した働きやすさとキャリア形成支援に強みがあります。就職・転職の際には、これら多面的なメリットも判断材料として大いにおすすめできる企業です。

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